団体貸出



「笑顔きらきら」
村田 裕美

 

 
ぼくはいつもひとりぼっち。  
学校にいるときも、公園にいるときも
うまくみんなとおはなしできない。
ひとりでいたいわけじゃない。
ぼくだって、ともだちがほしいのに…。

ゆうちゃんはいつもワイワイ。
学校にいるときも、公園にいるときも
たくさんのともだちにかこまれて、
いつもニコニコたのしそう。

ある日、いつものようにひとりですわっていると
ゆうちゃんがぼくに、
「いっしょにあそぼうよ!」
って、こえをかけてくれたんだ。

ぼくはすごくうれしかったけど、
どうしていいのかわからない。
はずかしくって、うつむいたまま
こっくりうなずいただけ。

ゆうちゃんは、しかめっつらのぼくの手をひっぱって、
公園のまん中につれていってくれたんだ。  
ともだちのたくさんいるところへつれていってくれたんだ。

はじめにぼくのそばにきたのはけいちゃん。
ぼくは小さいこえで
 「はじめまして。」
って言ってみた。
だけどへんじはかえってこない。
すっかり勇気をうしなった。

 「けいちゃんは、手でおはなしするんだよ。カッコいいだろう。」
ぼくは、びっくりしてかおをあげた。
すると、ぼくの目のまえでけいちゃんは
力いっぱい手をうごかして、体ぜんぶで
おはなししていたんだ。

つぎにぼくにちかづいてきたのはぴーちゃん。  
ぼくはうつむいたまま
 「こんにちは。」
って言ってみた。
またまたへんじがかえってこない。
すっかり自信をうしなった。

 「ぴーちゃんは、とおい国からひっこししてきたばかりなんだよ。」
ぼくは、あわてて目をあげた。  
するとぼくが聞いたことのない言葉で
ぴーちゃんはせいいっぱいおはなししていたんだ。

ぼくはそんなふたりにすっかりとまどって、
みみをふさいで、目をつぶって、
すわりこんでしまったんだ。
だって、けいちゃんもぴーちゃんもぼくと
ぜんぜんちがうから。

そんなぼくのかたをゆうちゃんはポンポンって
してくれて、こう言ったんだ。
  「ぼくらは、みんなちがうけど、
いっしょにいるとたのしいよ。
ぼくらといっしょに笑おうよ。」

ぼくはおそるおそるかおをあげて、  
みんなのかおをじっと見た。
ぼくをかこむみんなのかおは、  
きらきらとかがやいていたんだ。

みんなの笑顔につられて、
気づいたらぼくも笑ってた。
ニコニコ ニコニコ 笑ってた。  
みんなといっぱい笑ってた。

笑顔ってふしぎだね。  
ぼくはもうひとりぼっちじゃない。
いつもみんなと笑ってるんだ


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