|   ヒロくんは、毎日ママと公園に行き、元気にお友だちとあそびます。お友だちのゆーちゃんは、みんなといっしょにあそんでいても、いつのまにかポツンとひとりぼっちになっています。ひとりですなあそびをしているゆーちゃんにききました。「ゆーちゃん。ひとりでさびしくないの?」
 「うん。さびしくないよ!」
 「ふーん…(ボクはいやだな〜)」
 「ヒロ〜。もう帰るわよ〜」
 「はーい。ゆーちゃん、バイバイ」
 「うん。ヒロくん、バイバイ」
 お家に帰ると、ママはすぐに夕ごはんのカレーを作りはじめました。
 「ねえ〜ママー。(…エプロンを引っぱり、話しかける)」
 「(もくもくと手をうごかしながら)ママいそがしいんだから、ひとりでおとなしくしてて!」
 「(ボク、今、お話したいのに…)」
 ママのエプロンをグーで強くにぎりしめた後で、ヒロくんはひとりであそびはじめました。
 ピンポーン!パパが帰ってきました。
 「(あっ!パパだ〜)パパ〜おかえり〜」
 ヒロくんはいそいでげんかんに走りだしました。
 「ただいま、ヒロ。いい子にしてたか。ママは?」
 「ママ、いそがしいんだって…。あのね〜パパ〜」
 「パパきがえてきてから、な(笑顔)」
 「…うん(パパもいそがしいのか…)」
 「パパ、お帰りなさい。ヒロ、もうすぐごはんよ。今日はヒロが大すきなハンバーグカレーよ〜(ニッコリ笑顔)」
 「(今、ボクがほしいの、それじゃないのに…)」
 大すきなハンバーグカレーが、今日のヒロくんには、ちっともうれしくありません。
 日曜日、ママと公園に行くと、ゆーちゃんがゆーちゃんママとすなあそびをしていました。ゆーちゃんママは、ゆーちゃんの話を‘うんうん’とうなずきながら、楽しそうです。ゆーちゃんも、ニッコリ笑顔をうかべていました。(…ゆーちゃんはいいな。ママにちゃんとお話聞いてもらえて…)
 「ママ…あのね…」
 「あっ!パパからメール。おなかすいただって〜。ヒロ、もう、おうちに帰ろう♪」
 「…(ボクのママ…、ちっともお話聞いてくれない…)」
 お家につくなり、ヒロくんはつめたいベッドにもぐりこみました。ベッドの中で、大きな目からポロポロなみだがこぼれました。ママとパパは(あそびつかれてねちゃったのね)と、ふたりで夕ごはんのしたくをはじめました。ヒロくんは、パパとママの楽しそうな笑い声をベッドの中で聞きながら、とってもとってもかなしくなって、ベッドからとび出すと、 「ママなんて、ママなんて、大キライだーーっ!ボク、ボク、ゆーちゃんがいい。ゆーちゃんのママがいい(大なき…)」パパとママの前ではじめてみせた、ヒロくんの大きなさけび声でした。
 次の日、ママはひとりで公園に行きました。ゆーちゃんとゆーちゃんママが楽しそうに話をしていました。
 「ママ、あのね〜。あのね〜。」
 ゆーちゃんの話を楽しそうに聞く、ゆーちゃんママをだまって見ながら、ママの目になみだがいっぱいあふれてきました。
 「ヒロ…ごめん…。ごめんね…」ママはやっとヒロくんの気もちに気づきました。ヒロくんはさびしかったのです。ちゃんと自分の話をきいてほしかったのです。
 いそいでお家に帰ると、げんかんでヒロくんがママをまっていました。
 「ママ、お帰り〜」
 「ただいま…」
 と言いながら、ママはヒロくんをギュッと、やさしく、だきしめました。
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