団体貸出



「ひなん くんれん」
すぎた ちよこ

 

 ゆうの きょうしつは 3かいで きれいな うみが みえます。
もうすぐ ひなん くんれん。
ぐらぐら じめんが ゆれたときの れんしゅうです。

 サイレンがなったら つくえの したに もぐること。
  だけど ゆうは くるまいす。だから みんなが もぐって いる あいだ ヘルメットを かぶります。かっこいい ヘルメットです。

 そのあと かいだんを おりて うんどうじょうまで にげます。
あるけない ゆうは どうしたら いいかな?
きょうしつの みんなで そうだん しています。

 「エレベータで にげたら いいやん。」おとこのこが いいました。
  「かいだんより はやいし らくやで!」
  「でも、じめんが ゆれたら エレベーターは とまるんよ。」
  「えー!」
  「じゃぁ どうするの?」

 「くるまいすのまま おみこし みたいに ゆうを かついだら? みんなで。」
  「そうしよう。」
  「それが いい。」 みんなが いいました。

 でも、ゆうは しんぱいです。おちたら どうしよう。
  したを むいて だまって います。

 それを みた せんせいが「ゆう、どないした?」
と ききました。
  「おみこしは いや。こわいから いや。それなら あるいて かいだんを おりる。」
  「ゆうは あるかれへんやん!」 おとこのこが いいました。
  「それでも おちたら こわいから いやや!」ゆうは ないて しまいました。
みんなは すこし こまりました。
  「そしたら きょうしつで せんせいと まっていよか?」せんせいが いいました。
みんなと いっしょに にげたいな。と ゆうは おもっていました。
でも、いえませんでした。
  すると、ゆうの なかよしの ともだちが、
  「せんせい! ほんまに ぐらぐら ゆれたときも きょうしつで まってるの?」といいました。
  「そんなこと してたら つぶれて しまう。」
  「かじに なったら もえてしまう。」と みんなも いいました。
  なにか いい ほうほうは ないかな? もういっかい みんなで かんがえます。

 「そしたら、」と おとこのこが いいました。
  「そしたら?」と みんなが ききました。

 「そしたら、せんせいが ゆうを おんぶ して、かいだんを おりたらどう?」
  「くるまいすは?どうするの?」
  「かいだんを おりるとき、みんなで はこぼう。」

 「それは、いい かんがえだね。みんなの きもちは、とっても いいとおもうよ。
  でも、もし、くるまいすを はこぶとき、だれかが ころんだら あぶないな。」と せんせいが みんなに いいました。

 「ほんま。それは、たいへんなことに なる!」
  「そしたら、くるまいすは、おんがくの せんせいに たのもうよ。」
  「たのんで みよう。ゆう、どう おもう?」と みんなが いいました。

 「そうして みる。やって みる。」 と ゆうが いいました。
  「そしたら やって みよか。」と せんせいも いいました。せんせいの せなかなら こわく ありません。
  ひなん くんれんの ひに なりました。
  せんせいは ゆうを おんぶして かいだんを おりました。みんなは おんがくの せんせいと いっしょに ゆうの くるまいすを もちながら かいだんを おります。 じかんは すこし かかった けれど、ひとり のこらず うんどうじょうに にげました。ひなん くんれん だいせいこう!

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