団体貸出



「ちいさなせんせい」
はやし あい

 

 毎年おこなわれる大なわとび大会が近づいてきました。
 どのクラスもかつためにれんしゅうをしています。 そんな中、スポーツのにがてなまゆちゃんはすぐしっぱいして しまいます。
 「10、11、12・・・」
 「あ!」
 「またまゆちゃん!?」 
クラスメイトのみっちゃんが言います。
 「ごめんなさい。」
 「まゆちゃんがいるとまけちゃうよ!」 みっちゃんが言います。クラスのみんなもコソコソなにか言っています。まゆちゃんはすっかり一人ぼっちになってしまいました。
 つぎの日、来週おこなわれる音楽はっぴょう会のためにクラスでオカリナをふくことになりました。
 みんなはじめてです。先生はコツを教えます。はじめは上手く出来なかった子もしだいに上手になってゆきます。その中でもまゆちゃんはすごく上手にふきました。これには先生もみんなもびっくりです。みんながまゆちゃんに教えてもらいます。
 そしてみんなでふいてみることになりました。
  「ピー」
  とちゅうでへんな音がします。
 みっちゃんです。何回やっても上手く出来ません。けっきょく最後まで上手く出来ず今日はおわりです。
 みんなはぶつぶつ言いながら音楽室を出ていきます。まゆちゃんはしょんぼりしたみっちゃんに気がつきました。
 まゆちゃんがみっちゃんに声をかけます。
  「みっちゃん、昼休みにいっしょにれんしゅうしよ。」
  「え・・・」
  とまどうみっちゃん。
 昼休みになりました。音楽室でまゆちゃんがみっちゃんにふき方を教えます。
 「口をかるくあてて、ソからゆっくり出してみよう。」
  「ソラシ、ピー」
  「ソファレ、ピー」
  何回もれんしゅうしました。そして
  「ドレミファソラシド♪」
 「あ!上手にふけたよ、みっちゃん!」
 「ありがとうまゆちゃん、今までごめんね。」 
  そしてちょうどチャイムが鳴りました。
 そして、放課後になりました。また大なわとびのれんしゅうがあります。
 まゆちゃんは不安で仕方ありません。しっぱいしたらどうしよう。
 「1、2、3・・・10、11・・・」
  「あ!」
  やはりまゆちゃんがしっぱいしてしまいました。するとまゆちゃんのかたをポン!とたたく子がいます。みっちゃんです。
  「なわが足の下に来た時にとぶんだよ。なれるまで手をつないでとぼう。」
 「うん!ありがとう。」 
そしてまゆちゃんはみっちゃんのおかげで上手にとべるようになりました。
 「・・・・134、135!」
  「あ!」
みんなの足がひっかかります。 なわを回す人もとぶ人もみんなヘトヘトになりました。
 「すごい!これならかてるね、みんながんばろう!」
 みんな笑顔ではげましあいます。みっちゃんもまゆちゃんも笑っています。