「うんち君、お元気ですか?」
山上 理恵
ゆうくんは、さくら小学校の一年生。
1じかん目のさんすうのとき、
きゅ〜って
おなかいたくなった。
2じかん目のこくごのとき、
きゅ〜、きゅ〜って
もっとおなかいたくなった。
休み時間になって、
トイレの入り口まで行ったけど、
やっぱり、すぐにきょうしつにもどった。
3じかん目のおんがくのとき、きゅ〜、きゅる〜、きゅ〜って、
もっともっといたくなった。
みんな、たのしそうに歌ってたけど、
ゆうくん、ちっともたのしくなかった。
だんだん、だんだん、くるしくなって、
ついに、ゆうくんなきだしちゃった。
「いたいよ〜 いたいよ〜」
ともこ先生が、ゆうくんをほけんしつにつれていってくれた。
ほけんの先生と、ともこ先生がゆうくんのおなかを見てびっくり。
ゆうくんのおなかは、パンパンにふくれていたんだ。
「ゆうくん、トイレにいっておいで」
ゆうくんは、ほけんしつのとなりにあるトイレにかけこんだ。
まだ、3じかん目のとちゅうだったから、だあれもいないトイレ。
ゆうくんは、学校で、はじめてとびらのあるトイレに入った。
ゆうくんは、おっきなうんちをした。
そしたら、おなかいたいのがなくなった。
ほけんしつにもどると、ともこ先生がきいてきた。
「なんで、トイレにいかなかったの?」
それは・・・
「だって、みんな言ってたよ。
男の子は、とびらのあるトイレに入るとね、クスクスわらいごえが
きこえるんだって。
みんなに、『うんちしてる〜』って笑われるんだって。だから、
ずっとがまんしてたんだ」
「どうして、笑われるの?うんちをすることはおかしいことなの?」
ほけんの先生がきいてきた。
ゆうくんは、わからなかった。
すると、ほけんの先生がおしえてくれた。
「うんちって、すごいのよ。
うんちの色や大きさ、においや量で
その人が元気かどうかがわかるの。
うんち君が教えてくれるメッセージなの。
うんちをしたときは、
『うんち君、お元気ですか?』って、
じっくり見てあげなきゃいけないの。
それと、うんちはがまんしちゃだめよ。
『でたいよ〜』って、
うんち君のサインがでたら、
すぐにトイレにいかなくちゃ。
じゃないと、でられずにいたら、
うんち君おこっちゃって、
おなかの中であばれだしちゃうのよ」
「そっか、うんち君おこっちゃったのか。だから、おなかいたくなったんだね」
ゆうくんは、おなかのなかのうんち君に、そっと言った。
「だいじょうぶだよ。もう、がまんしたりしないよ」
お昼休み、ゆうくんは、クラスのみんなに、ほけんの先生が教えてくれたうんち君の話
をした。
みんなが、『ゆうくん、すご〜い』って、言ってくれた。
ともこ先生も、頭なでてくれて、
ゆうくん、ちょっぴりうれしかった。