団体貸出



「おとうさん、かっこいい!」
さだおか まさのぶ

 

 「ただいま……」
  しょうたが、いまにもなきだしそうなかおをして、ようちえんから、かえってきた。
  「どないしたの?」
  っておかあさんに、たずねられても、
  「なんでもあらへん!」と、つよがってた。
  でも、ガマンできずに、とうとうないた。


  しょうたは、おかあさんにいった。 
  「きょう、ようちえんで、やましたくんにいわれたんや。『おまえのとうちゃん、くさい
やろ』って。ぼく、はらがたって、すぐにいうたんや。『おとうちゃん、まいにち、おふ
ろにはいってるし、いつもきれいにしてる。なんも、くさいことなんかあらへんわ!』
って」


  だけど、やましたくんはおもしろがって、
  「くさい! くさい! くさい!」
  って、いいつづけたものだから、なにもいいかえせずに、くやしくて、くやしくて……。


  しょうたのおとうさんは、ゴミのしゅうしゅうさぎょういん。おおきなせいそうしゃ
にのって、ゴミおきばから、みんながすてた、かていゴミをあつめてまわるおしごと。


  「くさいんは、おとうちゃんやのうて、ゴミのほうやんか。やましたくんって、そんな
こともわからへんのかな」
  おかあさんは、そういってくれたけど、しょうたは、かなしいきもちのまんま。


  「それに、ゴミをすてるルールをまもらないひともいて、ガラスでてをけがしたりした
こともあったんよ。それでも、がんばってはる。おとうさんは、えらいんよ」
  そのひ、かえってきたおとうさんといっしょに、しょうたはおふろにはいった。


  しょうたは、おとうさんのひろいせなかに、そっと、はなをちかづけてみた。
  「しょうた、なにやってるんや?」
  おとうさんに、そうきかれたけど、
  「……」
  しょうたは、なにもこたえられなかった。


  すると、
  「どや、とうさん、くさないやろ?」
  そういわれて、しょうたはドキッとした。
  おとうさんは、きょうのできごとをおかあさんから、きかされて、しっていたんだ。


  「もし、とうさんが、このまちのゴミをあつめてまわらんかったら、どうなる?」
  「そしたら、みんな、こまるやん」
  「そや。だから、きにせんでええ。むねはって、いいかえしたらええんや」


  そのよる、しょうたは、ゆめをみた。
  ゴミかいじゅう・ダスターが、まちをおおあばれするっていうゆめ。
  みんな、おおあわてで、にげている。
  そこへ、さっそうとあらわれたのが、せいぎのみかた・クリーンマン。


  「あっ、おとうさんだ!」
  そう。クリーンマンのしょうたいは、しょうたのおとうさんだったのだ。
 
  クリーンマンのかつやくで、ダスターはみるみるまにちいさくなり、やがて、きえた。


  「ありがとう。クリーンマン!」
  ひとびとは、そういって、てをふった。


  しょうたは、めがさめた。
  しょうたは、おもった。きょう、やましたくんに、いってやろう、と。
  「ぼくのおとうさんは、このまちのヒーローなんだぞ!」って